社長ごあいさつ

人間は誰でも、「生・老・病・死」という4つの苦しみがあるそうです。

【生】

人生の先輩方から見れば私なんかまだまだ若造ですが、私のこれまでの人生を思い返してみても、たしかに生きるのは楽しいことばかりではありませんでした。

40代半ばで勤めていたメーカーを退社して、訪問介護のヘルパーをパートとして働き始めたときは、3人の子供が高3・高1・中1でしたので、経済的に本当に苦しかったです。（支えてくれた妻に感謝！）

【老】

仕事中ファイルが見つからなかったので、きっと誰かが出しっぱなしにしたんだろうと思い、「おい、あのファイルどこに置いた？」と聞いたところ、部下がニコニコしながら、所定の場所から取り出してくれました。「あれ？　おかしいなぁ～　さっきそこ探したんだけどなぁ～・・・」と私が頭をかしげるのを、他のスタッフが横目でチラッと見てニヤニヤ。そんな事が時々起こるようになりました。

それ以外にも、小さい字が読みにくくなりましたし、ちょっとした動きで腰が痛くなることもあります。

「ああ、老いるとは、こういう事か。」と、少しずつ分かり始めた気がします。

【病】

私は頭痛持ちでして、痛み止めの薬が手放せません。

頭痛が強烈な時は、薬が効かず、嘔吐を繰り返しながら、もがき苦しみます。

たしかに、病気が苦しみであることは、容易に理解することができます。

【死】

私はまだ死んだ経験がありませんが、父親が53歳・母親が63歳の若さで亡くなっていますので、その時のことを思い出します。

私は長男でしたので、どちらの時も私が喪主を務め、出来るだけ気丈に振舞っていました。

しかしながら亡くなってからの数年間は、夜中に救急車のサイレンの音が聞こえると、とても辛い思いがこみ上げてきて、耳を塞いでしまいたいような思いがしました。

 

こうして自分のことを振り返ってみても、たしかに「生老病死」という苦しみは、誰にでも訪れるようです。しかも、よく考えてみますと、その大部分が人生の後半に集中しています。

私たちのご利用者様は、皆様介護を必要とされている方ですので、まさにこの苦しみと対峙して、必死に頑張っていらっしゃる状況です。そのお姿を拝見させて頂くと、「あなたもいずれ老いるのだから、私の生き様をよく見ておきなさい」という力強いメッセージを頂いているようで、本当に頭が下がる思いがいたします。そして「少しでもお役に立てれば」という気持ちが、自然に湧いてきます。

 

さらに、ご利用者様の中には、ご自分がそんな苦しい状況にありながらも、私たちヘルパーが訪問するとにっこり笑って「来てくれてありがとう」と感謝の言葉をかけて下さったり、「雨なのに大変だね」などの、ねぎらいの言葉をかけて下さる方までいらっしゃいます。

 

何という素晴らしい人間性でしょう！

 

私がいつかその利用者様と同じ年齢になり、同じような身体状況に置かれたときに、同じように相手を思いやる言葉をかけられる人間になれているだろうかと、自分に問いかけずにはいられません。

 

「介護という仕事を通して、少しでも誰かのお役に立ちたい」という気持ちで働いでいる私たちですが、実際には利用者様から元気を頂き、励まされ、心を癒されている事が多いように感じられます。

そんな尊敬すべき人生の大先輩方への感謝の気持ちを忘れずに、これからも敬意と誠意をもって、このお仕事を続けさせて頂ければ幸いです。

 

株式会社　和　楽

代表取締役　神永　実